ダクタルフルプレミックスは、ダクタルプレミックス、専用繊維及び専用減水剤で構成されています。ダクタルプレミックスは「超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工指針(案):土木学会」に規定される標準配合粉体です。セメントを基材として各種の厳選された材料を使用し、厳重な品質管理体制のもとで製造されています。ダクタルプレミックスを使用することによって配合設計の作業が省略でき、品質の安定した部材の製造が可能となります。
専用繊維として鋼繊維を使用するダクタルFM(Fiber Metalic)と有機繊維を使用するダクタルFO(Fiber Organic)があり、使用用途に応じて選択することができます。
標準配合粉体であるダクタルプレミックスを用い、標準熱養生(90℃ 48時間の蒸気養生)を行うことにより密実な硬化体が得られます。ダクタルの優れた性能は、通常のコンクリートとは大きく異なり、力学的特性や耐久性等の材料特性において顕著に現れます。
超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工指針(案)においては、その性能の高さから、設計耐用期間は100年(ダクタルFM)を標準としてよいと定義されています。
超高強度繊維補強コンクリート設計
項目 | 単位 | 設計値 |
---|---|---|
密度 | g/cm3 | 2.55 |
圧縮強度 | N/mm2 | 180 |
引張強度 | N/mm2 | 8.8 |
ひび割れ発生強度 | N/mm2 | 8 |
ヤング係数 | kN/mm2 | 50 |
ポアソン比 | – | 0.2 |
クリープ係数 | – | 0.4 |
項目 | 単位 | Ductal-FM | Ductal-FO | 普通コンクリート 材齢28日 |
高強度コンクリート 材齢28日 |
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密度 | g/cm3 | 2.55 | 2.41 | 2.3 | 2.4 |
圧縮強度 | N/mm2 | 210 | 160 | ~36 | ~60 |
曲げ強度 | N/mm2 | 43 | 22 | ~5 | ~9 |
引張強度 | N/mm2 | 10.8 | 8.5 | ~3 | ~4 |
ヤング係数 | kN/mm2 | 54 | 46 | 25 | 40 |
※Ductal 物性値、各種試験結果は、脱型後標準熱養生(90℃ 48時間の蒸気養生)を実施した供試体によるものです。
※Ductal の圧縮強度はφ5×10cm供試体、曲げ強度は4×4×16cm供試体によるものです。
※超高強度繊維補強コンクリート製高耐久性薄肉埋設型枠「ダクタルフォーム 」には、ステンレス鋼繊維を用いたDuctal-FM typeS も用意しています。
ダクタルの透水係数・透気係数・塩化物イオンの拡散係数は、通常のコンクリートに比べていちじるしく小さく、物質移動に対する抵抗性は極めて高いといえます。
超高強度繊維補強コンクリート | 通常のコンクリート | |
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圧縮強度 | 150N/mm2以上 | 18~80N/mm2 |
水セメント比 | 0.24以下 | 0.3~0.6 |
透気係数 | 10-19m2以下 | 10-17~10-15m2 |
透水係数 | 4×10-17cm/s | 10-11~10-10cm/s |
塩化物イオンの拡散係数 | 0.0019cm2/年 | 0.14~0.9cm2/年 |
空隙率 | 約4vol.% | 約10vol.% |
超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工指針(案)より
右図は、土木学会式により塩化物イオンの表面からの浸透深さを推定したものです。飛沫滞環境(100年)において鋼材腐食発生限界濃度(1.2kg/m3)となる浸透深さは、普通コンクリートの約1/10~1/20の値となります。
これにより、かぶり厚の低減による部材の軽量化、構造物のライフサイクルコストの低減が可能となります。また、促進試験の結果によれば、表層の点錆、線錆等による美観上の問題はあるものの、塩化物イオンの侵入によって構造物の所要性能が損なわれる可能性は極めて低いと判断できます。
ダクタルの高い耐磨耗性能によって、構造物の延命化を図ることができます。
鋼球(1.5kg)を3000回まで自由落下させた際の凹部体積を測定しています。普通コンクリートに比べ約5倍の強さを有しています。